小児歯科治療

小児歯科治療について

お子様が生涯健康な歯を維持していくためには、子どもの頃からの予防が大切です。
小児歯科治療では、虫歯を治療することはもちろん、大切なお子様の歯の健康を守る役割があります。
大切なお子様の将来のために、小児歯科治療でしっかりお子様の歯を守ってあげましょう。

不正咬合の予防について

子どもたちの健全な咬合育成を行う歯科医師団体「子どもの咬合を考える会」が推奨する、不正咬合を予防するための「子育ち10ヶ条 ~ 幼児学童期編 ~」をご紹介致します。
(「幼児学童期編」では、乳歯列が完成する3才頃から永久歯列に移行する12才頃までのお子様を対象としています。)

「不正咬合を予防する子育ち10ヶ条」~ 幼児学童期編 ~

  • ❖ 第1条 口を閉じて鼻で呼吸します。

    口呼吸は健康を損なう大きな原因です。
    口が開いて舌が上顎から離れていると、上顎の成長が悪くなり、様々な不正咬合の原因になります。
    寝ている時の口呼吸にも注意しましょう。また、鼻の疾患は放置せず耳鼻科を受診しましょう。

  • ❖ 第2条 舌はいつも上顎につけます。

    口唇を閉じて、舌の先が上の前歯の裏の歯肉(スポット)に軽く付け、舌全体を上顎につけます。
    この状態を習慣化することにより、鼻呼吸がしやすくなります。

  • ❖ 第3条 食事は口を閉じて一口ずつ、左右でバランスよくしっかり噛みます。

    口を閉じてよく噛むことは、顎の発育を促します。
    前歯でかじり取り奥歯でよく噛みます。その時、足底がきちんと着いた状態で食事をすることが重要です。
    足がぶらぶらとしていてはしっかりと噛めません。
    食事中はテレビを消して、背筋をしっかりと伸ばし、まっすぐ前を向きましょう。

  • ❖ 第4条 飲み込むときも口唇を閉じ、舌は上顎にそわせます。

    上下の歯を軽く接触させて下顎を固定し、舌を上顎につけたまま飲み込む正常嚥下では、舌筋の圧力が上・下顎歯列の外側への発育を促します。
    嚥下時、舌を前方に突き出す癖や、下唇を吸い込むような癖は歯並びに悪影響があります。
    改善するにはトレーニングが必要です。

  • ❖ 第5条 頬杖、あご杖をするのはやめます。

    頬杖やあご杖は、頭の重さが、外側から顎を抑え込む力となります。
    習慣になると、歯列が内側に傾き、舌房(舌の部屋) が狭くなり、顎の位置のズレや顎の変形・歯列形態非対称の原因になります。

  • ❖ 第6条 指吸い、爪噛みはやめます。

    指吸い、爪噛みは歯並びや顎の発育に悪影響を及ぼします。

  • ❖ 第7条 口唇を噛む、巻き込むことはやめます。

    口唇を噛む癖、巻き込む癖は、歯並びや顎の発育に悪影響を及ぼします。

  • ❖ 第8条 背筋を伸ばして、姿勢をよくします。

    猫背は口呼吸や頬杖を誘発します。
    机に向かっている時、ゲームに集中している時など、意識的に背筋を伸ばしましょう。また、足を組むことも避けましょう。

  • ❖ 第9条 寝るときは仰向け寝で寝ます。

    うつぶせ寝、横向き寝は、就寝中に頭部の重さが顎や歯にかかり、顎の発育や歯並びに大きく影響を及ぼします。

  • ❖ 第10条 舌や口唇や顔全体の筋肉のトレーニングをします。

    これら口腔周囲筋の筋力の過不足は、歯列の発育や形態に悪影響を及ぼします。
    トレーニングを継続し筋力のバランスを整えると、口呼吸や嚥下時の悪習癖も正されて良好な発育を促します。
    ※トレーニングの方法はかかりつけの歯科医院にお尋ねください。

お口の定期検診を3~6ヶ月毎に受けましょう

乳歯列期完成期~永久歯列に移行するまでの時期(おおよそ3才~11才頃)は、口腔内も大きく変化を遂げながら成長発育をしていきます。できるだけ永久歯を抜かずにきれいな歯並びにするには、この時期からの適切な口腔管理が必要です。

う蝕や永久歯へ生え換わりの管理はもちろんのこと、歯並びに大きく影響する機能面(呼吸・咀嚼・嚥下・発音)の異常やその他の悪習癖を早期に発見するためにも、3~6ケ月毎に歯科医院で定期健診を受けましょう。

子どもの歯磨きについて

保護者磨き

歯が生えてきたら歯磨きのスタートです。
まず赤ちゃんが歯ブラシに慣れるようにしましょう。
歯ブラシを鉛筆の持ち方でにぎり、赤ちゃんの頭を親御さんの膝にのせて、寝かせた形で磨きます。また、虫歯になりやすい奥歯の噛み合わせ4ヶ所と上の前歯は特に注意して磨きましょう。
歯ブラシの毛先を歯にきちんとあて、軽い力で小きざみに動かして磨きます。
手の力を抜いて優しく一本ずつ磨きましょう。
この時、上の前歯の近くにあるひだ(上唇小帯)を強くこすらないように気をつけましょう。

仕上げ磨き

お子様が上手に磨けるようになるまでは「仕上げ磨き」をしましょう。
特に3歳半頃からは乳歯が生えそろったり、顎が大きくなって歯と歯の間にすき間ができたり、口の中の変化の激しい大切な時期です。
生えはじめの背の低い奥歯や生え変わりの歯並びが凸凹している部分などは、歯ブラシが届きにくいので、歯ブラシを口のななめ横から入れて細かく動かすなどの工夫をして、丁寧に磨くように心がけましょう。

点検磨き

小学1~2年生頃になると、永久歯が生えてきます。
永久歯はこれから一生使用するとても大切な歯です。
お子様が磨いた後には、不充分なところを磨いてあげるようにしましょう。
特に歯面は、3つに分けて考え、中央部は毛先全面を使って磨き、左右の隣接面は歯ブラシの脇で磨きましょう。
また、生えたての奥歯(6歳臼歯)は、やわらかく酸に弱いだけでなく、背も低いので、丁寧に磨きましょう。

6才臼歯について

永久歯の第1大臼歯のことを一般的に6才臼歯といいます。

6才臼歯は永久歯の中で最も早く生えてくる歯です。一般的に6才頃に生えてくるのでこのように呼ばれています。
6才臼歯は上と下の歯の噛み合わせを決定するため、正しい場所に生えてこないと、次に生えてくる歯の歯並び、顔の形、噛み合わせに悪い影響を及ぼします。
また、乳歯の1番奥のさらに奥に生えてくるため、歯ブラシが届きづらく、虫歯になりやすい個所でもあります。生え始めの時期はエナメル質も柔らかく、酸にとても弱い状態なので注意が必要です。

お子様の歯を守るために

❖ 歯を削ることなく予防できるシーラント

奥歯の噛む面には溝があります。
ここには汚れが溜まりやすく、歯磨きがしにくいので虫歯になりやすい個所です。
この奥歯にシールをして虫歯を予防する方法がシーラントです。
シーラントは歯を削ることがないので痛みはありません。
ただし、このシールは剥がれることもありますので、定期的に検診をする必要があります。また、シーラントを行ったからといって、必ずしも虫歯にならないという訳ではありません。

❖ 虫歯に強い歯をつくるフッ素

フッ素は歯を強くする成分で、抵抗力の弱い乳歯などを虫歯から守る薬剤です。
初期の虫歯を修復する効果や歯垢の中にある虫歯菌の働きも抑える効果もありますので、幼児期の虫歯予防には効果的です。
市場には「フッ素入り歯磨き粉」、「フッ素入りのうがい薬」などがありますが、歯医者による歯面へ直接のフッ素塗布がより効果的です。